アサガオのブログ

ドラマの備忘録✍🏻

地獄の道をその翼で

朝ドラ「虎に翼」。地獄の道を歩む寅ちゃんの道を見届けられて、懸命に生きる人達の姿を見届けられて、毎日支えられるような物語でした。日常の中の当たり前に「はて?」と疑問を言葉に出来る寅ちゃんが見つけた法律の世界。飲み込んで、飲み込まざるを得なかった違和感にはて、と声を上げる寅ちゃんの姿がこの物語最大の魅力で…そんな寅ちゃんを中心に皆が各々翼を手に入れるようで好きでした。

この作品に一気に引き込まれたのは、最初は法の道を行くことに猛反対していたはるさんが、寅ちゃんのためにと力強く声を上げて「六法全書下さい!」と書店へ駆け込むシーン。母の愛が詰まっていて、寅ちゃんの思いも伝わってきて胸が熱くなりました。「地獄を見る覚悟はあるの?」の言葉、母から渡された地獄への切符から始まる寅子の物語。この地獄という言葉が、今後も寅ちゃんの芯となるような言葉になっていて、胸に刻まれている言葉です。

地獄の切符を手に入れて進み出した道。女子部で出会った仲間達との思い出が寅ちゃんにとっても一生物の宝になっているくらいに、印象深いです。

その中でも一際印象深いのは、やっぱりよねさん!生きていく上で数え切れない程に辛い事も苦しい事もあって、その全てに怒っている人。最初は寅ちゃんたち女子部のメンバーとも対立しがちだったけど、「嫌な感じのままでいて」の言葉を受けて、生理痛に効くツボを教えに来てくれたよねさん最高だったな……寅ちゃんの、人の領域にめげずに入り込んで、真っ直ぐ人を見る性格のおかげで、よねさんの不器用な優しさがどんどん見えてくるのが本当に素敵。寅ちゃんとよねさんの唯一無二の関係性が大好きでした!

そんなよねさんと出会った時から対等に競い合ってきた轟の存在も、見れば見るほど好きになっていました。誰に対してもド直球に真っ直ぐ人を見ている轟、かっこよすぎる。花岡への思いを色んな力にして頑張ってきたからこそ、ぽっきり折れてしまったような轟に手を差し伸べるのがよねさんなのが本当に良い…!「誘い方が回りくどいぞ!!」「黙れ!」から始まる山田轟法律事務所、全てが良すぎる。2人の確実な信頼関係が大好きです!いつまでも背筋を伸ばして、おかしいことをおかしいと怒れるよねさんの存在に見ていて何度も救われました。山田轟法律事務所スピンオフは見たい。

そして涼子様と玉ちゃんの2人も可愛らしくて素敵な2人だったな。美しくて気品に溢れる涼子様に、虜になりっぱなしでした。玉ちゃんと生きる道を自分自身で選択して。「あなたなしの人生は考えられない」親友な涼子様と玉ちゃんが素敵。

優しくみんなを支えてくれた梅子さん。今まではどんな事も飲み込んでスン、と耐えてきた梅子さんが、自分の人生を自分のために生きることを決めた「ごきげんよう!!」には最高に痺れたし、色んな壁が立ちはだかりそれでも立ち上がって、自分の名前を取り戻したヒャンちゃんにも胸打たれました。

一緒に法を学んできた日々がこの先も寅ちゃんの人生に大きな影響を与えていて、自分を支えて鼓舞してくれるような記憶になっているのが本当に素敵。

今作で1番泣いたのはなんと言っても優三さん…!別れの場面はずっと忘れられない瞬間だと思います。ずっと一緒に生活をしてきた中で、寅ちゃんも優三さんのそばにいる時が一番自然体になれるような関係が大好きでした。社会的地位を得る為にした結婚、ぽろっとこぼれる自分は寅ちゃんが好きだけど、という本音に優三さんらしさが詰まりまくっていて好き。寅ちゃんを見る優三さんの表情がたまらなく愛おしそうで優しいところ。そんな優三さんの優しさに触れる中で、ふいに恋に落ちる寅ちゃんも最高に可愛かったな…。

緊張する優三さんのために寅ちゃんがした変顔。別れの間際に変顔しあって…寅ちゃんの変顔に、堪えきれずに泣いてしまいながらも、笑顔を見せて歩き出す優三さんの姿が、いつまで経っても忘れられなくて…今でも思い出しただけで涙が出てきます…。寅ちゃんにとっての優三さんの存在の大きさが至るところで伝わってきて、何度も胸がギュッとなりました。ずっと見守っていてくれている、本当に素敵な人。

猪爪家のエピソードも見所満載で好きでした!寅ちゃんの人生に切符を渡してくれた愛に溢れたはるさん、愉快に子供達を愛して猪爪家の空気を作ってくれてた直言さん。懺悔がごろごろ出てくる直言さんには笑っちゃったし、これまでの色んな思い出が全部よみがえってくるはるさんとのお別れには涙が止まりませんでした…最高の夫婦。

家族のようなもの、の道男とのエピソードも大号泣でした。人との関わりに慣れていない道男が、自分を見て貰えて、肯定してもらえて、人と向き合えるようになったの、素敵すぎる。「俺には分かる!」「思ってることは口に出した方がいいっ!」ずっと猪爪家を明るく照らしてくれた直道さん最高だったな…そんな直道さんにずっと恋している花江ちゃんの姿が、胸が締め付けられるほど好き。本当に素敵な夫婦だし、直道さんの真似をして笑い合う寅ちゃんと花江ちゃんも、最高の親友で好きすぎる~!

ぎくしゃくした優未ちゃんとの関係も印象深いです。完璧じゃない寅ちゃん、ちゃんと向き合って寄り添って、距離を縮められて凄く良かった。最初は謎に満ちていたのに、少しずつ距離が縮まっていって、寄り添い合う航一さんとの関係もたまらなく素敵だった…航一さんの「休みの日は休んでますね…」からの「ちちんぷいぷい~!!」まで関係が深まったのが本当に愛おしい。

寅ちゃんの人生を語る上で欠かせない桂場さんと穂高先生の存在も、ずっと心に残っています。法律の道を導いてくれた穂高先生。話を遮らずに「続けて」と話に耳を傾けてくれる2人。特に桂場さんは至る所で寅ちゃんに影響を与えてきた存在でした。甘党でいつもお団子を食べようとするところに人と鉢合わせてしまう。基本しかめっ面ながらも可愛らしさが溢れている桂場さんが非常に好き。

よねさんの「わずかだろうが、ここにいる」。この道を生きてきた人達の視線に、桂場さんが思わず笑ってから言う「失敬!撤回する」。いつだって今目の前にあるものを見て自分のことを見直せる、清々しいほどに桂場さんらしくて。 法律の道を歩む上で、いつだって歩いていく場所にいたような2人ならではの絆のようなものも感じられて。信頼しかない桂場さんが大好きでした!

美佐江さんと美雪さん。「最高の人生でしょ?」と笑う優未ちゃん。愛の多岐川さんにライアン。猪爪家に星家。忘れられない人がたくさんいる…。

はるさんからの「どう?地獄の道は」という問いに「最高!です!」と笑って答える寅ちゃん。母から貰った地獄への切符で開いた道、同じ道を生きる仲間達と歩んできたこの道を、最高だととびきりの笑顔で言えるのが寅ちゃんの人生を全て表しているようで最高でした!正しく”人が宣う地獄の先にこそ私は春を見る”。

いつの時代も確かにそこにいた人を、特別な存在じゃなくて、ただ当たり前にその人の姿として描いてくれている所に、この作品の好きな所が詰まっていました。地獄の道を突き進んだ寅ちゃんの姿。ずっと隣に居てくれるような物語を、ありがとうございました!さよーならまたいつか!

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